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その為には、銀行からプロパーローンを受けられるようにならなければならない。しかし、通常は新規の取引先に対していきなりオーバーローンやフルローンのプロパーローンを出す銀行はない。まずは、少額でも取引実績を作る必要があるのだ。返済実績と信頼関係が構築でき、銀行内での評価が高くなって初めてプロパーローンでオーバーローンやフルローンが出るようになるのだ。(ただし、自己資金が厚い場合や物件の担保力・収益力が高い場合はこの限りではない)

信用保証協会は、初めての銀行と取引実績を作るために大いに活躍をする。ただし、信用保証協会を利用するにあたってのメリット・デメリットや注意点があるため、ここでは信用保証協会の活用について纏めていきたい。

信用保証協会とは?

信用保証協会とは金融の円滑化を図る公的な機関であり、全国に52法人ある。各47都道府県にと、横浜市などの特定の5つの市に信用保証協会が存在する。信用保証協会は中小企業の潜在的信用力や将来性、発展性などを評価し、中小企業が事業資金を借りる際に、保証人となって信用力の保管を行う機関である。

信用保証協会は自ら融資する事はなく、あくまで保証行う機関である事が特徴的である。事業所の所在地が担当の保証協会となる為、通常は1つ2つの保証協会と付き合う事になる。

信用保証協会の保証の仕方は下記の2点がある。

・責任共有対象外(全部保障)制度

 借入額の100%を信用保証協会が保証する制度であり、銀行が負担するリスクは非常に少ない為、もっとも銀行から融資がでやすい保証制度である。この責任共有対象外(全部保障)制度を活用するには、売上額自体が前年比で下がっている必要がある。その為、規模の拡大を行い売り上げが毎年増加している法人は活用が困難になる。

・責任共有保証制度

 借入額の80%を信用保証協会が保証する制度であり、残りの20%はプロパーローン(金融機関がリスクを負う融資)と同等となる。その為、銀行によっては融資のハードルが上がり、融資が下りない可能性も高くなる。

金融機関からの融資の実効がされやすい順としては以下となる。

責任共有対象外(全部保障)制度>責任共有保証制度>プロパーローン

左側に行くほど、保証協会が保証する金額が多くなり、金融機関が負うリスクが少なくなる。


信用保証協会の保証額と保証期間は?

信用保証協会の保証額は青天井という分けではなく、上限が決まっている。

・無担保枠で8000万円
・担保枠で2億円



合計2億8000万円までなら、信用保証協会の保証を受けて融資を受ける事が可能である。

保証期間は無担保枠で10年間担保枠で20年間となっている。ただし、色々な条件によって期間が変わるので注意をしてほしい。

信用保証期間を利用するには保証料の支払が必要

信用保証協会を利用する場合、保証協会へ保証料の支払いが必要となる。保証料は借入金額や業績などによって異なる。通常、保証協愛の融資機関10年以下の保証を利用する場合、県や市の制度融資を合わせて利用する事になる。これは、地方自治体とその地域の金融機関が提携しているもので、割と低利の固定金利で資金調達が可能だ。地方自治体の制度融資では、例えば金利の上限が「固定2%」などと決められている事が多い。

保証協会への保証料は、財務分析によって事業者ごとに毎事業年度決定され、金融機関が融資残高の貸し倒れリスクを負担する時に適用される「責任共有保証料率」で決まる。保証料率は0.3%~2.0%程度で9つの区分に分類され、「中小企業信用リスク情報データベース(CRD)」をもとに、借入人の確定決算内容を評価して区分を決定する。

中小企業信用リスク情報データベース(CRD)とは?

CRDとは、CRDに蓄積されているデータを用いて構築した「CRDモデル」により企業の将来の信用力を予測したり、蓄積データから算出される財務指標等の統計情報の提供や匿名のサンプルデータを提供するサービスである。

このCRDが提供している無料サービスに、自社の財務データを入力すると即時に税務状況と経営危機度を把握できる。物件購入により財務状況がどう変化するのかシミュレーションができるので、格付けが気になる方は一度活用してみる事をおすすめする。

http://www.crd-office.net/CRD/index.html

信用保証協会に支払う保証料は決して無視できる金額ではない。例えば、1000万円の借り入れを行う場合の保証料は、おおよそ20万円程度となる。

信用保証協会を活用する場合は、金融機関に払う金利に加えて、保証協会に払う保証料も計算に入れて事業の採算性をシミュレーションする必要がある。保証料は一括払い、分割払い、どちらでも対応が可能である為、自己資金や融資戦略を踏まえて決定する事をすすめる。

信用保証協会の利用方法は?

信用保証協会を利用するには以下の2つの方法がある。

・直接信用保証協会に申し込みを行う
・金融機関経由で信用保証協会に申し込みを行う



全国のほとんどの普通銀行と信用金庫は保証協会と契約をしているため、一部の例外を除いてほとんどの中小企業は保証対象となる。保証協会は融資金融機関を指定する事もあるので、金融機関を飛ばして直接信用保証協会に申し込みを行った場合、保証協会からの保証が得られたとしても金融機関から承諾が得られない可能性があるので注意が必要である。

話がうまくまとまらない可能性もあるので、金融機関経由で信用保証協会を利用する事を推奨する

信用保証協会のメリット・デメリットとは?

信用保証協会を利用するメリットとしては以下があげられる。

・新規の銀行取引でも融資が出やすくなる
・大規模な銀行でも融資が出やすくなる
・耐用年数が既に経過している物件も保証してもらえる可能性がある
・実質金利が良くなることがある
・都道府県や市町村の制度融資を活用すると保証料や金利で優遇を受けられる
・返済が進んで空きができると他の金融機関でその枠を使用できる


銀行からの融資が受けやすくなる

新規の取引先に対して、いきなり銀行からプロパーローン(金融機関がすべてのリスクを負う融資)を受けるのは困難である。通常は、銀行が用意をしているアパートローンのスキームを使って融資を受ける事になる。しかし、アパートローンは資産家や世帯年収1000万円以上の高属性を対象にした商品が多く、頭金が1~2割必要であったり、担保物件が必要になるケースが多い。

しかし、信用保証協会の保証を利用すると、その分は銀行のリスクが低くなる。全部保証制度では100%信用保証協会が保証を行う為、銀行にとってはリスクが限りなく低いといえる。よって、新規の取引を始める銀行や中小企業では取引が難しい大手銀行であっても、信用保証協会を利用する事で、融資を受ける可能性が上がるのである。

いきなりプロパーローンは無理であっても、信用保証協会を活用する事で銀行と取引が始まり、返済実績を積む事で将来的にプロパーローンを組めるようになっていくのである

耐用年数を既に経過している物件も保証してもらえる可能性がある

信用保証協会は条件によって10年間や20年間といった、一定期間の保証を行う。通常のプロパーローンであれば、耐用年数を超える物件には融資がつかないが、信用保証協会の保証期間内があれば耐用年数を超えた物件であっても融資が実行されるケースがある

耐用年数を超える物件は高利回りでありキャッシュフローや返済比率の改善ができるというメリットがある一方で、ノンバンクなどを活用しない限り融資付けが難しいというデメリットがある。しかし、信用保証協会を活用することで10年や20年という融資を組める可能性があるため、希望する物件が見つかった場合は活用を検討することを推奨する。

実質金利が良くなる事もある

信用保証協会を利用する場合、銀行の金利とは別に0.3%~2.0%程度の保証料を支払う必要がある。その為、銀行の金利と保証協会の金利を足し合わせた分、実質金利が高くなると思うのが通常である。しかし、両者の金利は単純に足し合わせるものではない。信用保証協会からの保証が得られるという事は、銀行のリスクが低くなる事でも有り、評価が上がる可能性があるからだ。銀行は、借入人の財務内容や担保力、融資期間、収益力などを総合的に評価して金利水準を内部ルールで決めている。事業主の評価が上がれば、その分「融資額」や「融資期間」「金利」などの条件が良くなる。その為、信用保証協会を活用した方が、実質金利が下がる可能性もあるのである。

都道府県や市町村の制度融資を活用すると保証料や金利で優遇を受けられる

また、都道府県や市町村の制度融資(保証協会の保証を前提とした制度)を利用すると、低利の固定金利で融資を受ける事が可能である。地方自治体の制度融資では、融資金利の上限が決められていたり、保証料の補助を行う所がある

単なる保証協会付き融資だと金利は金融機関が決めるので、都道府県や市町村の制度融資がおすすめである。地元の信用保証協会や自治体のウェブサイトを見れば、制度融資について記載があるので気になる場合は確認してみることを推奨する。

返済が進んで空きができると他の金融機関でその枠を使用できる

新規の取引銀行を増やす為に無担保枠の8000万円を全て利用した後、担保に入れる物件がなければさらに信用保証協会を利用できないかというと、そうではない。

期間は開いてしまうが、返済が進み無担保枠の空きが出来れば、新たに保証を受ける事が可能となる。さらに新規の取引先銀行を開拓するのに、空いた無担保枠を活用できるのである。

信用保証協会のデメリットとは?

信用保証協会を利用するデメリットとしては以下があげられる。

・保証料が必要となる



信用保証協会を利用するには、保証料が必ず必要になってくる。保証料も無視できるほど小さな額ではなく、数十万円ほどしてしまう。保証料の支払いは、「一括支払い」と「分割支払い」どちらでも可能であるが、自己資金が少ない初期段階や、規模を拡大したい中期段階では融資戦略をしっかりと検討しておく必要があるのである。

信用保証協会を利用する注意点とは?

信用保証協会の利用で注意する事が2点ある。

一点目は、「信用保証協会の保証を受ければ全ての金融機関で融資が受けられるわけではない」という事だ。保証協会と提携している銀行や提携していない銀行がある事や、融資はあくまでも銀行の評価基準に則って融資の可否を判断する事から、保証協会を利用すると必ず融資を受けられるわけではない。保証協会の審査が通っても、銀行の審査で落ちる可能性は十分にある。

あくまでも、可能性を上げる為の制度であるという認識で活用をする事をおすすめする。

二点目は、「返済を免れるわけではない」という事だ。信用保証協会に保証料を支払っているのは、銀行への返済が不能に陥った際に信用保証協会があなたに変わりに返済をするものであり、あなたの返済が免除される分けではない。今度は、あなたが信用保証協会に返済を行う必要がある。

借り入れが免除されるわけではないので、注意が必要である。

信用保証協会を活用した融資ステップ

銀行から1億円を超えるプロパーローンを受ける為に、以下のステップで銀行と関係を構築していく事をおすすめする。

1、責任共有対象外(全部保障)制度を活用して実績を作る

2、責任共有保証制度を活用して実績を作る

3、プロパーローン(支店決済)

4、プロパーローン(本店決済)



本店決済のプロパーローンまで融資が受けられるようになると、数億円の物件も購入が可能となる。いきなりプロパーローンで数億円の融資を受ける事は困難である為、まずは信用保証協会を活用して少額物件から実績を作る事が重要である。

まとめ

融資にはアパートローンとプロパーローンがあり、規模を拡大していくためにはプロパーローンを出してくれる銀行と付き合いをしていく必要がある。また、融資実行後、数ヶ月もしくは数年は様子を見る為に次の融資を受けられない事が普通である。その為、複数の銀行と付き合いをしていく必要がある。

無担保のプロパーローンは銀行がリスクを負う融資であり、新規の取引先に対していきなり実行される事はない。まずは少額でも取引を行って返済実績を作り、信頼関係を構築していく必要がある。

その最初の段階として、信用保証協会の活用は有効である。保証協会がリスクを負う為に、銀行からの融資のハードルが下がるのである。信用保証協会が保証できる金額には上限がある為、数億円の物件を購入するのは難しいが、小規模で高利回りの物件を購入するのであれば、信用保証協会を活用して取引銀行を増やすのはオススメである。

事業規模を拡大する為に、ぜひ信用保証協会を活用した融資戦略を組み立てていただきたい。




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