「レントロールを貰ったけど見方が分からない。」
「この資料をこのまま信じて大丈夫なの?」
このような疑問にお応えしていきます。
マンションやアパートを一棟買いする際に、物件概要書と同じくらい重要となるのが「レントロール」。
レントロールを理解しておかなければ、いざ物件を購入しても思ったような利益が出ない可能性もあります。
実はレントロールは奥が深く、書いてある数字を表面的に読み取るだけでは、購入後に痛い目にあうリスクもあります。
しかし、レントロールは各不動産会社が独自に作成しているため、正式なフォーマットはとくにありません。その為、初心者ほど「レントロールの見方が分からない」という方も多いのです。
そのため、ここでは不動産投資で失敗しない為にも、レントロールから物件本来の姿を読む解くスキルを紹介していきます。
少し面倒な作業ではありますが、成功している投資家は必ず行っている作業なので、ぜひ覚えてください。
レントロールとは?
レントロールとは、その物件から得られる家賃の明細表のことです。
レントロールという言葉はアメリカやイギリスでも一般的に使われている「RENT-ROLL」という言葉がそのまま日本語になったものです。
レントロールには「その物件に、誰がいくらの家賃で入居しているのか」など、入居者やテナントなどの賃貸借契約の状況が書かれています。
その為、不動産を購入する際には、必ず確認しなければならない重要な資料です。
物件価格や所在地、面積や、権利関係などが書かれた「物件概要書」と同じタイミングで、仲介会社から受け取るのが一般的です。
こちらから「レントロールをください」とリクエストすれば貰う事が可能です。
レントロールの雛形
レントロールの雛形をダウンロード↓
https://kikakuyarou.jp/wp-content/uploads/2017/07/rentroll.xlsx
レントロールには正式なフォーマットは特にありません。不動産会社によって記載されている項目、内容に差があります。しかし、最低限として次の項目は確認が必要なのでチェックをするようにしましょう。
・間取り
・契約人名
・契約家賃
・共益費
・現況(賃貸中か空室か)
・契約年月
これ以上に細かく詳細が記載された親切なレントロールもありますが、最低限の事しか記載されていないものもあります。
記載されていない項目については、自分から不動産会社に問い合わせして確認しなければなりません。
そして、何よりも肝に銘じてほしいことが、「記載されている数字は事実ではないかもしれない」という事です。
物件概要書は基本的に、「客観的事実」のみ記載されている資料ですが、レントロールは違います。
売主に有利になるように作為的な数字になっている事が多いです。
その事実を知らずに、レントロールの数字を鵜呑みにして、失敗してしまう人が非常に多いです。
なので、レントロールを貰ったら、次の2つの作業を必ずしなければなりません。
2. レントロールに記載されていない項目について、問い合わせる
レントロールのどこに注意したら良いのか、次の項で詳しく解説していきます。
レントロールの注意点!トラブル事例とは?
まず、レントロールの数字を信じて、失敗してしまった例を紹介していきます。
【家賃が実態と合っていない事例】
収益率20%の高利回り物件を購入したAさんのお話です。
家賃6万円で7年住んでいた入居者が退去した後、なかなか空室が埋まりませんでした。
その為、周辺の家賃相場を調べてみると4万5千円と1万5千円も差がある事が分かりました。
賃貸物件は今後ますます増えていき、都心ですら家賃は下がる傾向にあります。
古くから住んでいる入居者は、高い家賃のまま入居していることが多いので、退去した後に同じ家賃で新しい入居者を探すことは難しくなります。
レントロールに記載されている家賃と、今の相場家賃に差がある場合、退去者が出ると収益率は大きく下がってしまいます。
【実は入居をしていない偽装入居】
満室状態のアパートを一棟買いしたBさんですが、購入後に退去者が相つぎ、入居率20%を切るほどに減少してしまいました。
先輩の投資家に相談したところ、「偽造入居だったのでは?」と言われガクゼンとしています。
家賃も相場より高めに設定し、収益率の高い物件として売却するのが目的で、空室にオーナーの知り合いなど、サクラを偽造入居させ、満室を装ったレントロールを作成することがあるので注意が必要です。
偽造入居の手口は以下の通りです。
2. 毎月の家賃は、名義を貸した人が支払う。(実際に物件に住まない)
3. オーナーは名義を貸してくれた人に、その分の報酬を支払う。
4. レントロールは高い家賃収入で満室となる。
5. 物件を売り出す。
6. レントロール上では好物件なので、買い手がすぐ見つかる。
7. 所有権が移ったら、頃合いを見計らって、偽装入居者が入居解約の通知を出す。
架空入居者は売買が完了すると、時間を掛け徐々に退去していきます。いつの間にか入居者がいなくなっているので、騙されたことに気がつきにくいのです。
事前に物件を見学しに行っても空室にカーテンを付けて入居を演出するなどして、手口はとても巧妙です。
【引き渡し後に一斉退去】
上で挙げた偽装入居者が引き渡し後に徐々に退去するのではなく、「一斉に」退去することもあり得ます。
次のような事例があります。
地方都市に満室状態のアパートを一棟買いしたCさんですが、物件引き渡しの後8部屋のうち6部屋の住人が退去してしまいました。その6人は東京に本社がある会社の営業所の社員だったのですが、営業所が閉鎖になってしまったので、一斉に転勤になってしまったのです。
同じ会社の社員や、同時期に入居した学生などは、一斉退去してしまう事があります。
レントロールには入居者の属性が書かれていないことが多いです。自分から不動産業者に確認しておく必要もあります。
フリーレント半年間などで無理やり高い家賃設定で入居付け
フリーレントとは、一定期間、家賃無償で物件を貸し出す方法で、空室対策によく使われます。
入居者側も初期費用を安く抑えることが出来るので、双方メリットがあります。しかし、これをレントロール上、好物件に見せるために悪用するケースがあるのです。
それは次のような手口を使います。
2. 半年間タダの代わりに、賃貸契約上の家賃は相場よりも高めに設定する。
3. 満室状態で収益率の高いレントロールが作成できる
4. 好物件だと思い投資家が購入する
5. フリーレントの半年が過ぎて、入居者が退去してしまう(相場よりも家賃が高いので払いたくない)
購入前に物件を見に行っても、偽装入居と違い実際に入居者がいるので見抜くのは大変難しくなります。
トラブルに巻き込まれない為のレントロールの見方とは?
上で挙げたような失敗を避けるには、レントロールを読み解き、その物件の実際の収益力を見抜く眼を持つ必要があります。
実は、投資上級者はレントロールを取り寄せた後、次のような作業をしているのです。
具体的に説明していきます。
坪単価の確認
木造や軽鉄は坪5000円以上、RCは坪1万円以上とれていないと、経費倒れになるリスクが高いので注意しましょう。
ちなみに1㎡は0,3025坪に換算できます。坪数は賃貸面積として表示されている場合もあります。1フロアで1テナントになっている場合は賃貸面積を確認する作業もお勧めします。
家賃は適正価格に見直す
まずは、レントロールに掲載されている家賃が相場と比べて高くないかを確認し、適正価格に見直す作業を行います。
同一間取りや築年数の適正家賃を他業者へヒアリング
その物件の地元の「賃貸会社」にヒアリングするのが確実です。物件購入後は客付けをお願いする可能性もあるので、直接訪問して聞いてみましょう。
「購入を検討しているので教えてほしい」と切り出せば、ほとんどの業者が丁寧に教えてくれます。
確認する項目としては以下のようになります。
・近隣に同一の間取りや築年数の物件があるか
・入居者層の傾向
・入居づけのしやすさ
これらを確認すれば、空室の想定賃料が適正かどうか分かっていきます。
ネットで相場を検索
地元の賃貸仲介会社を訪問するのにも限界があります。そのような場合はネットで相場を検索して見ましょう。Home’sや、at home、Suumoなどの、物件数の多いサイトを利用すると良いです。
例として、次のレントロールが適正なのかを調べてみましょう。
・宇都宮駅徒歩15分
・築15年
・ワンルーム
・家賃60,000円
Home’sで検索して見ると、該当物件が6件出てきました。安い順に並び変えてみました。

駅から徒歩15分 築13年と、ほぼ同じ条件の物件が48,000円で出ています。2番目に安い物件は築2年で52,000円でした。
これを見れば、レントロール60,000円の家賃は高すぎることが分かります。
空室の想定賃料は、最低でも50,000円まで引き下げる必要があるでしょう。
専有面積をチェック
レントロールに間取りは書いてあっても、専有面積が書いていないことがあります。同じ1Rでも㎡数によって部屋の印象はかなり違ってきます。
廊下を含めた㎡数なのか、ロフトはついているのかなど、出来るだけ細かく部屋の情報を入手したいところです。
入居付けにも影響を及ぼすので不動産業者に必ず確認を取りましょう。
家賃のばらつきに注意
同じタイプの部屋なのに、契約時期の違いによって家賃に差があることがあります。
その場合は、直近の契約の家賃を適正価格として、それより高い金額の家賃は適正価格に修正して、収益率を計算し直します。
家賃の一部は都心エリアを除き、今後も値下がり傾向が続くでしょう。
今、高い賃料で入居してくれている住人が退去した後は、直近の契約家賃より高い金額で貸すことは難しくなるはずです。
一斉退去に注意
契約後に一斉退去になる恐れが無いか、チェックするためには「入居年月」を確認する必要があります。
入居のタイミングを見て最近まとまって入居がついていないか?
最近まとまって新規に契約している場合、上で見た偽装入居の疑いが出てきます。架空の賃貸契約だった場合、物件購入後に、一斉に(あるいは巧妙に徐々に)退去者が出てくる恐れがあります。
一度は現場に行って、本当に入居しているか確かめたほうが良いです。電気メーターやガスメーター、ポストの状態を見て、人が住んでいる気配を感じなければ、契約は見送った方が良いでしょう。
入居の時期がまとまっていて一斉退去のリスクがあるか?
シングル物件の場合は2年、ファミリー物件の場合は4年が、平均的な入居期間だと言われています。入居期間がこれよりも長い場合は、そろそろ退去する可能性が高い、という事を念頭に入れる必要があります。
また、長期間入居した部屋は汚れていることが多い為、退去後の現状回復費用が高額になりがちなことも忘れてはいけません。
学生が多い物件も要注意です。同じ年に契約した入居者は、同時に卒業し一斉に退去してしまうからです。
敷金はあるのか?
敷金・礼金・保証金の金額はもちろん、その返済義務の有無も要確認事項です。
敷金・礼金はその物件の人気度を表しているといっても過言ではありません。
敷金0・礼金0で募集を掛けている物件は、人気のない証拠だと言えるでしょう。近隣の物件との比較も大切です。
また敷金や保証金は、物件売買の時に次のオーナーに引き継がれるのが一般的ですが、俗にいう「大阪方式」の場合は注意が必要です。
大阪方式では、敷金・保証金のお金は次のオーナーに引き継がれないが、敷金や保証金の返還義務だけは負う、という契約が一般的なのです。
契約時にきちんと確認しておかなければ後々トラブルになるので注意しましょう。
テナント比率が高すぎないか?
テナント比率が高いと、空室になってしまった時に収益率が大幅に落ちてしまいます。
周辺エリアに空き店舗が多ければ競争も激しくなるので、まずは現地に行って、周辺環境や人通りなどをチェックして、確実にテナントが入るエリアなのかを確認しましょう。
レントロールに記載されたテナント家賃が相場より高いか判断するのは、住居部分よりも難しいです。なので、テナント専門の不動産業者に確認するのが一番確実です。
また、テナント比率が30%以上になると、個人向けのアパートローンの融資が難しくなることも、事前に抑えておかなければなりません。
オーナー負担がないか?
レントロールの中に、オーナーが支払わなければならない項目が、きちんと掲載されているかもチェックが必要です。
そしてその金額が、家賃に含まれて徴収されているのかも合わせて確認したいところです。
その分は賃料から差し引いて、収益率を計算しなければなりません。
具体的には次のような項目です。
町内会費を家賃とは別途徴収し、オーナーが一括で支払う場合
・水道料金
部屋ごとにメーターが無く、総額計算のためオーナーが一括で払う場合
・駐車場料金
敷地外に外部駐車場を借りて入居者に貸している場合
・ケーブルテレビ料金
オーナー負担でケーブルテレビに加入している場合
・インターネット料金
オーナー負担で無料インターネットを提供している場合
他にも、受水槽の掃除費用など、年に10万円以上の出費が必要な項目もあります。業者にレントロールに載っていない「支出一覧表」を作成してもらうと良いでしょう。
入居者の属性が悪くないか?
入居者の属性も正しく把握しておく必要があります。
上で見たように、同じ会社の社員ばかり、同じ学年の学生ばかりと、偏っている場合は一斉撤去のリスクが高くなります。
また、身元が不明瞭な入居者は滞納リスクが高くなります。
高齢者や生活保護者などは一見リスクが高そうですが、長期入居してくれる、役所が直接家賃を支払ってくれる、などのメリットもあります。購入前に入居者属性から見えてくる、メリットデメリットを正しく判断しておくと良いでしょう。
他にも、入居者の中に、前オーナーの親族や友人がいないかチェックする必要があります。空室を埋めるために偽装入居している可能性もあるし、逆に不当に安く貸しているケースもあるので要注意です。
将来なくなる可能性があるその他の収入が入っていないか?
レントロールの中に将来なくなる可能性がある「その他の収入」が含まれている場合は、
その収入が無くなったらどれくらい収益が下がるかも、しっかりと計算しておく必要があります。
具体的には以下の内容です。
・携帯電話の基地局収入
・自動販売機収入
などが挙げられます。
何かのきっかけでなくなってしまう可能性がある収入は、初めから当てにせず、純粋な収入率を見て購入を判断しましょう。
まとめ
レントロールは、その物件から得られる家賃の明細表のことで、不動産を購入する際には必ず確認しなければならない重要な資料です。
しかし、物件概要書と違い「客観的な事実に基づいて記載されているとは限らない」という事を念願に置いておかなければなりません。
記載されている賃料が実際の相場より高かったり、空室を偽装入居者で埋めて満室を装ったりなど、売主に有利に記載されているケースがあります。
また、購入したとたんに入居者が一切退去してしまったり、予期せぬオーナー負担の出費がある事もあります。
レントロールを入手したら、上で挙げた注意点を、一つ一つ確認しながら作業をするようにしてください。
そのうえで納得できる物件だけを購入していけば、失敗のリスクは限りなく低くすることができますよ。
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