返済比率はどのくらいが目安?
返済比率を下げる方法は?

不動産投資を行う上で重要な指標がいくつかあるが、「返済比率」もその一つだろう。 利回りが10%を超える優良物件を持っていても、返済比率が高すぎると、返済不能に陥る可能性がある。 逆に、危険と言われているフルローンやオーバーローンでも、返済比率が低ければ、特に問題は発生しない。

ここでは、返済比率の計算方法や、返済比率を下げる対策について解説していく。 自己破産に追い込まれないように、物件を購入する前には必ずシミュレーションをして危険水準に達していないか確認してほしい。

返済比率とは?

返済比率とは、「家賃収入」に対して、銀行への「元本と金利の返済額」が占める割合の事だ。 次のような計算式で求める。

毎月(年間)の返済額 ÷ 毎月(年間)の家賃収入 ×100 [%] 

家賃収入が100万円で毎月の返済額が50万円なら50%、60万円なら60%となる。 60%だった場合は、残りの40%で諸経費や固定資産税を支払う事になる。

返済比率が高い場合、次のような時に問題が出てくる。

・突発的な運営コストが発生した時
・金利が上昇した時


空室が思った以上に長引いたり、突発的な修繕が発生すると、家賃収入の範囲で全てのコストを賄う事が難しくなり、自己資金からの持ち出しが多くなる。

例えば、空室率10%、運営費10%、返済比率が70%で10%の税引き前CFを見込んでいたとする。 空室想定が甘く、実際には20%となると税引前CFは0円となる。 キャッシュがショートしてしまえば、銀行への返済が滞り、最終的に物件を手放すことになる。

また、金利が上昇して返済比率がより高くなってしまった時も、同様にキャッシュのショートが心配される。 例えば、1億円の借入に対して当初の金利が1%の場合、年間の金利返済分は100万円である。それが2%になると、金利の支払いは単純に2倍の200万円に増える事になる。金利上昇は経営に与えるインパクトが大きく、大きなリスクである。 このリスクに耐える為にも、返済比率は重要な指標だと言われるのだ。

返済比率の目安はいくら?危険な水準とは?

では、返済比率は何%を超えると危険な水準となるのだろうか。

理想の返済比率は40%以下と言われている。
しかし40%という数字は、相当利回りの良い物件か、かなり自己資産を投入しないと達成しない数字だ。
事業を拡大するために自己資産の投入は極力控えたいと思っているのなら、50%以下を目安とすると良いだろう。

一般的な基準は以下の通りだ。

40%以下・・・安全
50%以下・・・比較的安全
50~55%・・・注意が必要
55%以上・・・危険

 

満室時の家賃収入を100万円、固定資産税や管理費などの経費を20%、空室率を10%と想定してみよう。 50%を超えると、かなり厳しくなるのが一目瞭然だ。

返済比率  40%  50%  60% 
家賃収入  100万円  100万円  100万円 
返済額  40万円  50万円  60万円 
経費 (20%)  20万円  20万円  20万円 
空室損 (10%)  10万円  10万円  10万円 
差し引き計  30万円  20万円  10万円 

 

返済比率50%だと、最終的に家賃収入の20%のキャッシュが手元に残る。一方で、返済比率が60%だと、手元に残るキャッシュは10%となる。返済比率が高くなるほど、金利上昇リスクや、空室リスクを吸収できなくなる事が分かるだろう。

リスクに対する耐性が10%しかないのは危険であり、より安全性を求めるのであれば返済比率は50%に抑えるべきだろう。返済比率が60%を超えるような物件は、残念だが見送るべきだと断言する。

フルローンやオーバーローンでは、返済比率が高くなる。もし、フルローンやオーバーローンによって返済比率が60%以上となるようであれば、自己資金を投下するか、現金で他の物件を購入して返済比率を下げるべきである。

フルローンやオーバーローンでも50%を超えないのであれば、自己資金を温存するためにも積極的に活用すべきであろう。

返済比率50%以上でも購入したい物件がある場合はどうするか?

購入したい物件があって返済比率を計算したところ50%を超えていた、という場合はどうしたら良いだろうか。返済比率55%くらいまでなら、次の2つの対策でリスクを軽減することが出来る。

1. 返済比率を下げる対策
2. 金利が上がっても耐えられる対策


1. 返済比率を下げる対策

まずは返済比率を下げる努力をしよう。返済比率を下げる対策として、次のようなことが挙げられる。

・自己資金を多く入れ、借入金を少なくする
・少しでも金利を低くするための交渉をする
・返済期間を長くして毎月の返済額を下げる
・物件の値引き交渉をし、利回りを良くする
・購入時の諸経費を抑える


要は、安くて利回りの良い物件を、自己資金を多めに入れて購入するか、融資の金利を低くして長期間の借入で購入することだ。返済比率は以下の式で計算できる。

(元本返済額(融資額/融資期間)+金利返済額)÷家賃収入

自己資金を多めに投下したり、売価を下げて融資額を少なくする事で、元本返済額を少なくできるので返済比率を下げる事ができる。また、融資期間を長くしても元本返済額を少なくできるので、同様に返済比率を下げる事ができる。

金利も4.5%と高い金利でなく、1%と低い金利の銀行から融資を受ける事で返済比率を下げる事ができる。

他には、

・複数棟所持して全体で返済比率を抑える
・他に収入の柱を持つ


という方法もある。この物件の返済比率が高くとも、保有物件全体で補うという考え方だ。

2. 金利が上がっても耐えられる対策

金利が0.5~1%上昇しただけで、返済額の増額が1部屋分の家賃に相当する場合もある。金利の上昇はそれだけダメージが大きいのだ。対策としては、次の事が考えられる。

・繰り上げ返済して返済額を減らす
・借り換え
・すぐに売却できる物件(誰でも融資がつきやすい物件)を購入しておく


自己資金を準備しておけば、金利が上昇したらすぐに繰り上げ返済をして返済額を減らすことが出来る。

可能であれば借り換えも検討したいところだ。(違約金には注意が必要)借り換えを成功させる為には、他の銀行でも評価の高い物件を購入しておくという事である。スルガ銀行などのように、独自の指標で融資が実行されており、他の銀行では融資のテーブルに乗らないような物件を購入していると、借り換えは難航するので注意をしてほしい。

また、キャッシュのショートに備えて、すぐに売却できる物件を持っていると心強いだろう。この場合も、借り換えと同様に他の銀行から融資がつきやすい物件を購入しておく事が対策となる。融資がつきやすい物件はすぐに売却が出来るため、出口戦略が描きやすいのである。

業者の言う返済比率には要注意

不動産投資初心者の場合、業者の紹介で金融機関から借り入れる人も多いが、業者の説明は甘めの設定で行われている事を理解しておくことだ。

返済比率については、特に次の事を確認する必要がある。

・元本の返済だけを言っているのか
・金利も含むのか
・諸経費も含むのか


この大元の設定が間違っていると、その後のシミュレーションが全て狂ってくる。元本返済だけを含んだ返済比率では、金利が上昇したらすぐに対応できなくなるだろう。

不動産投資をする時は、全てにおいて厳しめに設定しておくのが鉄則だ。いざという時に困らない為にも、初めの確認は怠らないでほしい。

まとめ

返済比率とは、毎月(毎年)の返済額 ÷ 毎月(毎年)の家賃収入 の計算式で求められる。
返済比率が高くなると手元に残るキャッシュが少なくなるため、突発的な修繕や金利の上昇などが起こった時に、自己資金からの持ち出しが多くなり、最悪の場合、物件を手放すこともある。

返済比率は概ね50%以下なら安全だと言われている。50%を超える物件をどうしても購入したいのなら、返済比率を下げる努力をするべきだ。具体的には、

・自己資金を多く入れ、借入金を少なくする
・少しでも金利を低くするための交渉をする
・返済期間を長くして毎月の返済額を下げる
・物件の値引き交渉をし、利回りを良くする
・購入時の諸経費を抑える



など、少しでも良い条件で購入できるよう、各方面に働きかけてみよう。

また、業者の言う返済比率には、何が含まれているのか事前に確認する必要がある。
不動産投資では甘めの設定は禁物だ。元本しか含まれていないようだったら、自分で計算し直して正しく見積もってほしい。




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